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パキポディウムの育て方
塊根植物(コーデックス)の代表的な品種
パキポディウム
塊根植物またはコーデックスと呼ばれる、根や幹がどっしりと太った植物が、今、人気がありブームです。その塊根植物のなかでも代表的な人気をもつパキポディウムをご紹介します。
植物名:パキポディウム
学名:Pachypodium
科目:キョウチクトウ科
属名:パキポディウム属
原産地:マダガスカル、南アフリカなど
特徴
塊根植物のパキポディウムは、キョウチクトウ科に属する人気のある植物です。主にマダガスカルを中心に南アフリカをはじめ、アフリカ大陸南部に分布しています。キョウチクトウはもともと大気汚染に強い植物で、日本国内でも幹線道路沿いの街路樹に使われるなど環境順応性が高いタフな植物で知られています。
パキポディウムという名前はギリシャ語の太い足の意味をもつ「パキスポドス」からきているとおり、太い幹に水分をためた、どっしりしたフォルムとトゲが特徴です。トゲの役割としては鳥などの外敵から身を守り、雨水や空気中の水分の取り込みやすくする機能を持っています。
またパキポディウムは他の塊根植物とくらべて成長速度が早いので、小さい苗から楽しめたり、実生(種から育てる)栽培でも楽しめます。
輸入株と実生株について
現在流通しているパキポディウムでも、原産地のマダガスカル周辺から輸入される「輸入株(現地株)」と、輸入された株から種子を採取して国内で発芽させて栽培と採種を繰り返してきた「実生株(みしょうかぶ)」の2種類があります。この二つには大きな違いがあります。
輸入株は自生地の厳しい環境下で育つため、実生株にはない野性味があり一言でいうととてもワイルドなフォルムになります。実生株にはない野生味や深みがあることから価格的にも高額のものになります。加えて高額な株ではありますが、育て方は決して容易ではありません。輸入時に根っこを切られた状態で入ってくるために、根をうまく活着させなければならず、その点が輸入株は育てるのが難しいといわれる主な要因です。
実生株は同じ植物でも海外の輸入株と比べると一見して同じ植物と思えないほどフォルムに差がでてきます。水や温度などが国内で管理されながら、日本の気候風土に順応して育ってきた株になるので育てやすい点が一番の魅力です。
主な種類
パキポディウム グラキリス
パキポディウムの代表品種ともいえる人気の品種。どっしりとした幹から根がはりやすく、塊根上部からは細い枝が複数伸びあがっていきます。若い枝にはトゲがありますが、塊根部分はトゲが落ちますので滑らかな木肌感も楽しめます。
パキポディウム ブレビカウレ
和名の「恵比寿笑い」としても流通しています。地面を這うように膨らむ幹が存在感があります。パキポディウムの中では比較的栽培難易度が高い品種になります。一般的に販売価格も高めで、レア品種なので上級者向けかもしれません。
パキポディウム ラメリー
パキポディウムの中でも背の高くなる品種です。幹がぷっくりと膨らむのではなく、上に伸びていくように育つのが特徴です。葉が大きく育つタイプで比較的育てやすい種類です。初心者にもおすすめの品種です。
パキポディウム ホロンベンセ
幹の全体が太く生長してくるので、ガッチリとしたフォルムが特徴です。全体的に白味のある幹とトゲに覆われていてかっこよさが引き立つ品種です。
初夏にはユリに似た花が咲きます。
パキポディウム サウンデルシー
白味のあるグレーの幹が肥大してトゲを持つ特徴的なフォルムが特徴です。先端に葉を付けます。和名は「白馬城」です。生長速度も比較的早く上に7伸びていきます。夏の終わりに白い花を咲かせる夏型タイプです。
環境
日光を好みますので一年を通して日当たりのよい場所で育てましょう。一定の耐陰性も持ちますが通年で日当たりが悪いと徒長して茎がひょろひょろになります。
急な環境の変化はあまりよくありません。日陰の環境下から日照条件をよくする場合には、いきなり直射日光にあてることなく徐々に明るい場所に慣らすなど調整が必要です。
自生地が熱帯地域のため日本の寒さには弱く、屋外で管理してたとしても気温が下がり落葉してきたら室内に取り込んで管理しましょう。冬超し温度は10℃以上を目安にします。
パキポディウムは基本的に春から秋の生長期になるべくたくさんの日光を浴びることで株が充実します。冬場でも10℃以上を保ち、明るい場所で管理するようにします。
水やり
パキポディウムはそのどっしりとした茎の中に水分を貯えられるため乾燥には非常に強い植物です。水やりは土が完全に乾いてから水を与えます。特に生長が鈍化する冬は過湿にすると根腐れを起こしますので乾燥気味に管理しましょう。冬の目安は月に1~2回程度、落葉して休眠に入った株は断水管理します。
夏の水やりは基本的に乾燥気味の環境を好むので水のあげすぎは避けます。屋外で管理している場合は自然降雨の水分量でも構いません。ただし梅雨時期などの長期間の雨が続く場合は軒下などに避難させてあげましょう。夏の水やりは土が完全に乾いてから。月2回ほどを目安にします。
水やり後はしっかりと水を切って、風通しのよい場所で管理し蒸れないようにして管理しましょう。
また、夏場の与えるタイミングは夕方や夜などの涼しくなる時間帯がおすすめ。真夏の日中、暑い時間帯に水やりすると、水分が熱くなってしまい、株がダメージを受けやすくなるので注意しましょう。
肥料
パキポディウムの肥料は液体肥料を使用します。肥料は春から秋の生長期に液体肥料を月に1回ほどを目安に与えます。 それ以上は必要ありません。
土
水はけの良い土が適しています。市販の多肉植物やサボテンの専用土を利用することもできます。市販の土の水はけが心元ない場合には軽石や赤玉土の小粒を混ぜるなどして水はけを良くしてもよいでしょう。
配合土の場合は、川砂6:腐葉土4の割合で混ぜた土がおすすめ。
管理
パキポディウムは2年から3年に1回の割合で鉢を一回り大きいものに植え替えてあげましょう。
植替え時には詰まっている土を手でほぐし、柔らかくします。また、トゲがありますのでガーデニング用の手袋や皮の手袋を準備して行いましょう。
最適期は3月~5月ごろです。
もしも、水のやりすぎで株元が腐ってしまった場合の対処法は、腐った部分より上の幹をばっさりと切り落として、切り口をよく乾燥させた後、土に挿す方法があります。その際、発根してくるまで水は与えません。
また、株の上部が腐ってしまったり傷んだ場合はそのすぐ下からばっさりと切り落とします。切り落とした株を乾燥気味に管理するとわき芽がでてきます。