お庭づくりの豆知識や、日々のこと
キンカンの育て方
栽培も容易で庭木向きな常緑性低木の果樹
キンカン
キンカンは、ミカンを小さくしたような、見た目かわいらしい果樹です。皮ごと食べたり、甘露煮にして親しまれています。皮の部分にビタミンCやカリウムを多く含んでいるので、免疫力を高める効果が期待できます。
植物名:キンカン
学名:Fortunella
和名:金柑
科目:ミカン科
属名:キンカン属
原産地:中国
花言葉:思い出、感謝
特徴
キンカンはミカン科キンカン属に分類される常緑性低木の総称です。日本には江戸時代以前に伝わったといわれています。
耐寒性が高く、病害虫の心配が少ないことから、家庭で楽しめる果樹の代表的な存在として親しまれています。
キンカンはたくさんの品種があります。実がおいしく食べられるものとしては、「ネイハキンカン」「マルキンカン」「ナガキンカン」などがあげられます。
中でもネイハキンカンは、実が11~13gと大ぶりになるので、多く栽培されています。他に観賞用として、「チョウジュキンカン」「マメキンカン」などは庭植えや盆栽用に人気の品種です。
キンカン類は耐寒性が強く、栽培も容易で庭木向きです。
夏~秋にかけて、3回にわたって2~3cmほどの白い花を咲かせ、結実するとミカンを小さくしたような黄色い果実が付きます。
特にネイハキンカンは果実にビタミンA,Cが豊富で利用価値が高く、庭に1本あると重宝するので人気があります。果実はよく知られているのは甘露煮ですが、生果で食べてもおいしいです。庭植えのキンカンは、一般の柑橘類より開花が遅いので、熟すのも遅く、早く食べると酸っぱいですが、3月から5月ごろ食べるとたいへんおいしいです。
また、風邪の予防や喉の傷みを緩和する風邪薬として、民間療法で利用されていました。
樹高も1~2mほどで楕円形で光沢のある葉っぱは、濃い緑色をしています。冬でも美しい葉っぱを楽しめるので、鉢植え、地植えどちらでも楽しめます。
風邪のときに金柑の甘露煮を食べた記憶を思い起こさせることから、「思い出」という花言葉が付いたと考えられています。
環境
3月下旬~5月下旬に、金柑の木を鉢植えか地植えにしていきます。耐寒性があるので、地植えにしても元気に育ってくれる丈夫な果樹です。
日光を好むので、庭植えの植えつけ場所、鉢植えの置き場とも日当たり良好な場所を選びます。
最初に植え付けたら、樹高40~50cmに切り詰めてください。
水やり
鉢土の表面が白く乾いたら、鉢底の穴から少し流れ出るくらいたっぷり与えます。庭植えの場合は、土質や種類にもよりますが、夏に日照りが続くようなとき以外は必要ありません。
ただし春~夏にかけて乾燥しすぎると、花付きや実付きが悪くなってしまいます。その時期は水切れに気をつけてください。
肥料
実をたくさん付けるために、肥料を与えていきましょう。植え付けるタイミングで、土に緩効性化成肥料を混ぜたら、7~9月と2~3月に同じ肥料を株元にばらまきます。
鉢植えは、追加で5~6月にも与えると生育がよくなります。また、化成肥料の代わりに有機質肥料を施してもよいでしょう。
土
水はけ、水もちのよいことが大切で、この条件さえ満たせば、土はあまり選びません。一般的な市販の用土を用いる場合は、赤玉土小粒7~8、腐葉土3~2の配合土を用います。
剪定
金柑は植え付けから3年目までに樹形を作り、その後は簡単な間引き剪定だけにしていきます。3年目以降に強い剪定をしてしまうと、実付きが悪くなってしまいます。
植え付け時:樹高が40~50cmになるよう切り詰めます。
3年目まで:それぞれの枝を1/3ほどの長さに切りそろえます。
細かい枝が内側にたくさん生えてくるので、混み合っている枝はつけ根から切り落として、幹に日光が当たるようにします。自然は樹形を生かして作るほうき仕立てがおすすめです。
3年目以降:収穫後の3月から5月にかけて行います。普通の柑橘類と違って、春から伸長した枝に着花(果)する性質があります。加えて前年枝にも着花(果)します。したがって、極端な切り詰めを行っても花は咲きますが、着果はしにくくなります。普通のキンカンは下垂した弱い枝によく着果し、また大きい果実がなります。勢いの強い枝についた、7月上旬に咲いた最初の花は実らず落果しやすく、のちに咲いた花に着果するので小さいのです。大きく、品質のよい果実を収穫するには、枝を誘引、下垂させるなどして、早く咲いた花に着果させることがポイントです。
また、着果数が多い場合は摘果をします。小果や多すぎるものを間引きます。